「・・・・・・・」
この人は、不思議だ。
全てを知っているようで、
全てが凄くて
全てが完璧で
この人に、落款した部分など、あるのだろうか?
でも。
なんで私のこと、知ってるの?
私・・・・・そんな事、教えてない。
思わず、じっとベリルさんを
見つめてしまっていたらしい。
ベリルさんはそんな私に気付いたのか
仕方が無い、というように
前を見つめたまま、口を開く。
「町でお前はエオスと同じ力を持つと聞いた。エオスの力は過去に聞いた事がある」
乱暴、だけど。
まぁ、うん。
そうだよね、町の人たちが騒ぎ立てたに違いない。
よく考えれば分かる事なのに・・・本当、頭悪い。
エオスは、いろんな意味、で有名だし
(面倒でサボったりオトコ遊びしたりで仕事もサボり放題で、つまり上の人達からもお咎め受けてるし、まずオトコが大好きだから)
私はふと、目を閉じた。
「この数、数がお前の事を見越したうえでのことか?」
「そうだと思っている」
「?」
もう、自分が情けなくて仕方ない。
2人の足を引っ張っているとしか思えないし
心の中で反省しつつ、首を傾げると
グエンさんは口を開く。
「オークってのはそんなに強い奴らじゃない。徒党を組むのが襄套(じょうとう)手段だが、これはちょいと組みすぎ」
「誰かが操っていると見る方が妥当だ」
最後の一言は、ベリルさんが告げた。


