「そう。なら良かったー」 おかーさんは、そんなあたしに笑顔を返す。 「ハルくん、引き続きよろしくね」 「はい」 「眞緒、がんばってね」 「……がんばってるよ、いつも」 部屋から出ていく背中を、マグカップに口をつけながら見送る。 「どれ、続けるか」 そんなあたしの頭を、ハル兄の持った教科書がぽんとたたいた。 まるで、悪いことをした妹をたしなめるみたいに。 その力加減が絶妙過ぎて、ちょっとだけ、泣きそうになった。