しかも、


気づけば落としていたのが、頬へのキスだ。



(……あれ? 今……オレ、何をした?)



我に返ったときには、腕の中の顔がきょとんとオレを見上げていて。


思わず自嘲したところに、発車の合図。



『がんばれよ、眞緒』



なんて言ってホームに戻ったオレを、こいつは窓に顔を張りつけて凝視していたっけ。



『……大好きっ……』



そう言い残した幼なじみにうなずいたオレは、


しばらくのあいだ、


ホームに突っ立ったまま、遠ざかっていくテールランプの明かりを眺めるしか出来なかった。