「先に寝てていいぞ?」
「え?」
「オレも風呂に入ってくるから」
そう言ったハル兄は、巻き終えた袖を離してバスルームに消えてしまった。
「……」
急に取り残された部屋の中で、途方に暮れる。
……寝てていいって言ったって……どこに?
とか考えながら、ベッドに視線を向ける。
「む……無理……」
眺めているだけの布団相手に、超緊張。
だってそこは、ハル兄の聖域でしょ?
って、大げさ?
借りた服の微かなにおいにさえ、「きゅん」としてるあたしがあそこに入ったら……
「……窒息しちゃうよ」
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