そんなあたしに顔を向けたまま、男の人は小首をかしげている。 薄暗いから表情は分かんないけど、 この場合、「なに見てんだよ」みたいな感じ? その角度、そんな感じ? すぐに目をそらして、二人のわきを足早に通り過ぎると、 「……おいっ」 なんとなく、後ろで声がしたような気がしたけど。 「あ~……もうっ。最悪」 暗い地面にぼやきながら、 あたしは、ローファーの足をずんずんと前に進めた。