☆side:MAO
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黒い上下のスウェットとTシャツを借りて、慣れないバスルームで服を脱ぐ。



「……お泊りだ……」



もう少し……もう少しだけでいいからこうしていたい。


温かい胸の中でそう願っているうちに、時間が経っていた。



……っていうのは、都合のいい言い訳で。


眠ったふりをしてしまえば、朝までくっついていられるかもしれないって……そう思った。



だって、今日で終わりだから。


もう、ハル兄に抱きしめてもらったりはできないから。


だから……


せめて今夜だけ、その腕の中にいたかった。