商店街を抜けて、住宅街をふたりで歩く。 「ウレシイなー、お土産。バウムクーヘン、大好きなんだよねー、おかーさん」 何も変わらないおかーさんの明るい声が、冷たい空気の中でよく響く。 「……ふぇ……くしょいっ!!」 言葉の代わりに盛大なくしゃみをすると、ふわりとマフラーをかけられた。 「風邪ひかないでよー。あらやだ、鼻水出てるし」 くすくすと笑われて、新幹線のホームでの出来事を思い出す。 涙と、鼻水まみれの散々な告白。 「……」