「夜かー。うーん……」



ハル兄が悩むのも無理はない。


てか、断ればいいんだって。そんなバイト。


てか、どんなバイト?



「ハルくんさえ良ければなんだけど……」



ずずず……。


2杯目の味噌汁をすすりながら、おかーさんの言葉を聞くあたし。



「週何回でもいいからさ、眞緒の家庭教師やってくれない? バイト料、お支払いしますんで」


「眞緒の家庭教師?」


「……ぶっ!!!」



あたしの口から、2度目の味噌汁噴射。



「あー、なるほど」



すでに慣れたのか、あたしの顔を見下ろしたハル兄は、



「だから。わかめ出てるっつーの」



やれやれ、と笑ってから、



「いいっすよ」



カテキョの話を、あっさり受け入れた。