迷子みたいにそわそわしているのを不憫に思ってくれたのか、 バウムクーヘンの試食をすすめてくれている。 「あ、いや、」 結構です、そう言いかけると、ぎゅるるとお腹が鳴った。 「……えっと、いただきます」 こんなときでも、カラダは正直だ。 甘い香りに負けてお皿の上のスイーツをつまむ。