「あ、もうすぐ東京っ」 上ずった声を出すと、 『ヘンな人に絡まれないように気をつけるのよ? 眞緒、東京なんて久しぶりでしょ? 中学の修学旅行以来じゃない?』 そういえばそうだ、と気づく。 「大丈夫だよ。じゃ、またっ」 車内から見えるビルの明かりにちょっとドキドキしながら、あたしはケータイをパチンと閉じた。 出てくるときにはオレンジがかっていた空も、すっかり紺色に変わっていて。 地元では有り得ないほどの人で溢れたホームを眺めながら、あたしは軽く息を吐き出した。