「ハル、にぃ……」




絞り出すような声が、ひとりぼっちの部屋に静かに響く。




「ハ、ル……にぃ……」




その名前を口にするほど、苦しくて、切なくて、涙は止まらない。



あたしは、いつのまにか、声を振り絞って泣いていた。


子どもみたいにうずくまって、涙の海に顔をつけて。




――好きだった。



こんなにも好きになっていた。



ハル兄のこと、大好きだった。




勉強を教えてもらいたかったんだじゃない。


眠れるようになって、うれしかったんじゃない。




ハル兄に会えるのが、抱っこしてもらうのが、


ただ単純に、素直に、シアワセだったんだ。