――パタンと閉まったドアの前で、 あたしは、しばらくの間、ぼう然と立ち尽くしていた。 こわばっていた体からチカラが抜けて。 へたり込んだ床の上に、水滴が落ちた。 ぽたりぽたりと、途切れもせずに。 はっとして、目元をぬぐう。 ……なんで? なんで泣いてるんだろうあたし。 おかーさんに悪態をついたときも、 ハル兄に諭されたときも、 泣きそうになったけど……こらえることが出来たのに。