「これはな、ここをこうすれば……」 「うんうん」 「な? 解けるだろ?」 「おおー、ホントだ。すごい」 ハル兄の声、指、視線。 それらを必死で追っているうちに、時間はあっという間に過ぎていく。 「のみ込みが早くなったな、眞緒」 褒められて、うれしくて、赤くなる。 「ハル兄の教え方がいいんだよ。分かりやすいもん」 うつむいて、つぶいやいて、子どもみたいに頭を撫でられて……少し、切なくなる。 「じゃー、今日はここまでにしとくか」 最後の授業は、その声で終わった。