「じゃー、帰るぞ?」


「うん」



うなずいたけど、顔は上げれなかった。


……これじゃ、離れたくないのがバレバレだ。



「甘えんぼ眞緒」



くすくす笑う、オトナになってしまったヒト。



どうせ子ども扱いされるなら、子どもみたいなことを言ってしまおう。



「……あのさ、ハル兄」


「ん?」


「お願いが、あるんだけど……」



少し、躊躇して。


でも、思いきって顔を上げると、


少し眠そうな目が、ほほ笑んで見おろしていた。



「次もまた……、抱っこしてやるよ」



分かってる、とでも言うように。


あたしが言うはずだったお願いを、ぴったり口にして。