気合いを入れて顔を上げると、 「エライな。昔からお前、やるときはやるもんな」 あたしの濡れた前髪をかき上げて、ハル兄は目を細めて笑った。 ――ドキン……と胸が波打って、あわてて視線をそらす。 服の泥を落とすそぶりを見せながら。 ……おかしいな、あたし。 こんなふうに撫でられたり、ほめられたり、笑いかけられることなんて、小さいころには何度もあったはずなのに。 たかが前髪に、ハル兄の指先がそっと触れただけなのに。 何なんだろう、この感じ。 ……ヘンなの。