君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて




背後から、温かい腕と、それから吐息が、あたしを包んだ。

「ありがとう」

「うん…」

人前で、まだここさっき中継したところで、人の目もあるのに。
やっぱずるいよ…

離れてと言えないあたしも、あたしだなぁと思いながら、目を閉じて深呼吸を繰り返した。


「さてと。帰ろうかなぁ」

「あ、江口さん!」
「奏」
「かなで、さん?」
「奏」
「かなで…」
「よろしい」

なんだこのやりとりは。