君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて




「だから!これ!あげま…あげる!」

悔しくなったあたしは、またかわいげもなくテーブルにそれをバンと押し付ける。

それを笑いながらさらりと受けとる江口さん。

スマートな江口さんの挙動は、余計にあたしを悔しくさせた。


「ありがとう、なに?これ、あけていい?」

無言で頷くあたし。

まだクスクス笑うか。


「あ、、、」

包装をはがし、箱を開けた江口さんの口からこぼれたのは、これだけだった。


「こ、これ…なら、わざわざ外さなくても、てかつけなくてもいいけど!でも、つけてたら、ドラムで動いても痛くないかな…って、思って…」

だんだん自信をなくしてうなだれるあたしが目をあげると目の前には、誰もいなくて。