周りは、ウェアを着た人達ばかりで。

これぞ、ゼンブユキノセイダ?の世界で。

「あたし、浮いてませんか…」

ニット帽もかぶらずに普段着だなんて、完全にアウェイだよ…

「俺も浮いてるから大丈夫」

「さすが」

「自己中?」

自分で言うようになったら終わりだ。
そう思って、笑ってしまった。

テラスつきのカフェには、ゲレンデからと駐車場からのどっちからも入れるようになっていて、あたし達は駐車場側の雪が掻き分けられている道から入った。

カウンターには、すでにたくさんの人が並んでいて、江口さんはあたしに、席をとっておくように言ってから、どこかへ消えてしまった。