君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて




「コバさんのサインがほしくて!」


こ…コバさん?
意外な名前に、あたしはつい二人で並んでいるところを想像してしまった。

「あぁ、言っとくよ。あと、トウマに無理いって、悪かったね」

緊張が一気にほどけたのか、江口さんも口を開く。


「いえいえ!じゃああたし、荷物取ってくるのでまた!あ、エグチさん、トウマの部屋は…」

「聞いてる」

「了解です!じゃ!」

走り去った灯歌ちゃんを見ながら思ったことは…

「走り方がアスリートだな…」

「そうですね…」


あたしたちは、灯歌ちゃんの用意してくれた部屋に入った。
一式の寝間着のようなものは用意されている。

「風呂入って、寝てていいよ」

「江口さんは?」

「俺はトウマの部屋に行くから」

おやすみ、、、
そう言って、江口さんはあたしの髪をすいてから部屋を出ていった。