真夜中の雪は白い。
走る黒いX-TRAILの、カタカタというチェーン音。
だんだん、スキー場の近くだって感じの景色になってきた。
「そういえば明ちゃん、今日着替えとか持ってきた?」
「え、あぁ、いや、持ってきてないです…」
…ここにくる予定も、無かったし。
「だよねー」
りょうかーいといった感じでゆるく会話が終了する。
なんだったんだ?
「はい、とーちゃく」
車が停まったのは、ホテル?の前だった。
江口さんは自分が着てた皮ジャンをあたしに羽織らせると、
「駐車場もうちょっと上だから、先に入ってて」
珍しく、気をつかう様子を見せる江口さん。
髪をひと撫でされて、はっとなったあたしは、素早くドアを開けて車から降りる。



