「ちょっと」 柵に手をかける彼女の手をつかむと、その瞬間びくっとなったのがわかった。 「悪いことってわかってんなら、ルールくらい守ったら?」 …マナーのない人にファンになられるtrapがかわいそうだし。 「うるさいわね、なんなのよ!」 あ、言っちゃってた? でも本当のことじゃない? 今度はあたしを無視して、また柵を乗り越えようとするその人。 あたしの止める声も聞かずに、とうとうステージにたどり着いたその人に、ようやく本人達も気づいたようだ。