君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて




周りが恋だ愛だと騒いでいるなか、俺はただひたすらにドラムを叩いてきた。

実力も、ようやく身についてきたと思うし、俺に憧れたという正樹のような後輩もできた。


そして、その縁で今、目の前には彼女がいる。


きっと俺の運命を、大きく左右する、大切な存在になる女の子が。


明ちゃんにヘルメットをかぶせて、バイクを走らせていると、後ろから小さな声がした。

きっと、叫んでいるんだろうが、バイクの音にかきけされている。


「自己中って言われませんか~?!」