周りが恋だ愛だと騒いでいるなか、俺はただひたすらにドラムを叩いてきた。 実力も、ようやく身についてきたと思うし、俺に憧れたという正樹のような後輩もできた。 そして、その縁で今、目の前には彼女がいる。 きっと俺の運命を、大きく左右する、大切な存在になる女の子が。 明ちゃんにヘルメットをかぶせて、バイクを走らせていると、後ろから小さな声がした。 きっと、叫んでいるんだろうが、バイクの音にかきけされている。 「自己中って言われませんか~?!」