君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて




演奏を終えた江口さん。

フゥ、と息を吐いて空を見上げる。

つられて、あたしも真上を見てみた。


「あ、、、」

…星が多い夜だ。


音を透すだけじゃなく、光まで届けてくれる、冬空。


…そうか、これで怖くなかったんだ。

道路のライトに、それに反射する波の光、そして夜空にちりばめられている星達。

案外、明るいところだったみたいだ。


やっぱり、それに気付かせてくれたのは、江口さんなわけで。


「ありがとうございました」


って、素直に言うことができた。