【短編】瞳




――放課後



赤オレンジに光る教室で、目が覚めた。



え? もう放課後かよ?
俺、ずっと寝てたんか?


そう思って顔を上げた瞬間……動きが止まった。



何故か俺の机に、隣の机をピッタリと付けて、
その机で寝てる……桜田。



はぁ?
何で居る?


はぁー……。
すげぇ気持ち良さそうだし。

桜田の寝顔を見てたら、段々考えてた事が馬鹿らしくなってきた。


初めから聞けば、よくね?
なんだかんだっても結局、聞きたいし。



聞かなきゃなんねーんだしな。

逃げてたって……いずれかは。


結果は出る。



桜田の寝顔は、普段より幼くて可愛くて。
思わずキスしたくなった。


ぷにぷにの頬っぺたをプニプニしたら、

「……ふに」

なんて声出されてこっちが赤面したしっ。


てか、いつまで寝る気なんだよ?
てか、何ちゅう声出してんだよ?



俺の背中から赤オレンジの夕焼け。


俺は、両手を枕にしながら顔は桜田の方を見る。
桜田は寝てるけど結構、至近距離。


こんなじっくり顔見んの初めてかも。

時間が止まった様な、穏やかな時だった。