【短編】瞳




――次の日



「あっ! 矢野君。昨日ご……ごめんね?」



朝から俺に謝って来た桜田。

少し俯いて言うのは、昨日の後ろめたさ?
それとも演技?

なぁ、どっちだよ?



てか、もう、どーでもいいわ。
考えんのも、だりぃー……。


多分、桜田を睨んだ……形になったと思う。



「別に。何とも思ってねーし」

「えっでも?」



んだよ。
これくらいで、泣きそうな顔すんなよ。

先に、お前がしたんだろーが。



俺達の重い空気なんて読めない女が都合よく話しかけてきた。





「学、これー……あ、彼女と話してた?」



普段なら桜田を優先させるけど、



「いや、もー終わった」



終わったんだ。

だよな、桜田?



クソッ……んで、
何で、そんな傷ついた顔してんだよ?

終わったなんて……話だけの意味だろ?


もしかして、俺達が終わった……の?



そのまま、桜田のそばを離れた。



俺は、ガキだと思う。

だけど他の男と居たのを見て受け止めれる程、大人でもないんだ。