「俺……彼女と帰るし」



“彼女”って私だよね?
ハッキリ言ってくれた事が、すごく嬉しかった。

思わず零れた笑み。



「えー? 学、彼女居たっけ?」


やっぱり……。
私の事知らないんだ。

存在感薄いなぁ、私って。



「居るけど?」

「嘘ー? 誰よ?」



でも良かった……私、チビで。

下駄箱の方が大きいから、キョロキョロする原田さんに見つからない。


何で……彼女なのに隠れてんだろ?


矢野君が、せっかく彼女って言ってくれたのに。



「あ……居た」

「へ?」



見上げたら矢野君が、下駄箱の上から覗き込んでた。
そして、隣に居た原田さんと目が合った。

慌てて目線を下に向けたけど、


「えー学の彼女? どこー?って
……え? 桜田さんなの?」

「うん」

「もー学? 嘘ついて私を騙さないでよね!
桜田さんが言い返せないからってー。ね、桜田さん」



え?



もう一度、目を合わせると、
にっこり微笑んだ原田さんが綺麗で。

少し見取れてしまった。



「ほら、固まってるじゃない。
学と桜田さんじゃ似合わない……
てか釣り合ってないし?
嘘つくなら、もっと信じれる人にしてよね?
あっ♪ 桜田さん、帰っていいよ?」



出していたローファーを履き、上靴を下駄箱に入れた私は、話の盛り上がる2人を残し校門を出た。



…って何で私帰ってんの?


やっぱ……私とじゃ釣り合わないんだ。
だから、矢野君と付き合ってるて広まらないのかな?


はぁー……。
何で私なんだろ。


最近思うのは、こればっかり。



今頃、原田さんと帰ってんのかな。

矢野君と原田さんが並ぶと似合ってたもん。