【短編】瞳




「いーんだよ……もう」

「学ー?」


どうせ嫌われてんだから、何したって無理なんだよ。

波の声に振り返らず、皆の輪に戻った。

その後も全然楽しくなかった。



「学、もう帰るけど……いいの?」

「……うん」

「妃芽ちゃん、波ん家泊まるし……まぁ会いたくなったら言えよ?」



俺の肩をポンと叩き笑って先に行った。

笑い返す事しか出来ねーよ……准。


もう……
これ以上、嫌われたくねぇんだ。





「学!」

「んぁ?」


准ん家に入ろうとしてた俺の服を、おもいっきり引っ張る波。


……苦し…い。
こいつは、俺を殺す気か?



「妃芽が、家帰るのっ!」

「はぁ? 泊まんねーの?」