【短編】瞳




はぁ……。

あれから1回も、瞳すら合わない。



「学、花火しようぜ」

「あー……もう花火か」



准に手渡された花火。
それを見つめながら思った。

花火渡しに行くか。
そしたら瞳くらい……合うよな。





すぐ見つけた桜田は、木下と花火持って笑ってた。



何だよ。

俺じゃなきゃ……誰でもいいのかよ?



もういいや。
花火……楽しも。


その楽しそうに笑う笑顔を見ない様に。

1番デカイ花火をした。
1番デカイやつなら1番明るいだろ?

そしたら見えないだろ?



「あっ! 学、何してんのよ?」

「あぁ゙?」



んだよ。

さっき俺から桜田奪った張本人が。



「妃芽んところ行かないの?」

「他の奴と……居たし」

「は? 気にせず行きなよ?」