【短編】瞳




「バーベキューの用意するから手伝ってよ、学」

「もう?」



まだ、あいつの水着姿見てねーんだけど。

見てみたいじゃん?



あ……俺は、最悪な男だったんだ。
仕方ない、手伝うか。


このクソ暑い中、炭に火をつける。

てかさ?
准がするんじゃなかったっけ?

横目で潤を見ると、一つ一つ指差し確認し、にっこり微笑み、



「そろそろ呼んで来る♪」



ぷっ。
准、“♪”ついてるし。

波に喜んでもらえんのが、そんな嬉しのか?





「大丈夫ー?」

バーベキューが始まってすぐ女達の心配そうな声に見送られる
桜田の後ろ姿が見えた。



ん?
桜田どこ行くんだ?



「どうかしたの?」

「妃芽ちゃん、火傷したらしいよ」

「え?」



火傷?

驚いてる俺に、男のくせににっこり可愛い笑顔を向け、



「学、行ってあげてくんない?
波が、一人じゃ心配なんだってさー?」