【短編】瞳




“強制”と言っていただけあって



「学♪ 連れて来たよ」



と擦れ違った時に、自信満々に波が囁いた。





……まただ。


――どうして、あなたが居るの?


そんな瞳で見んなよ。
俺……何かしたのか?




「妃芽ちゃんとこ行こ♪」

「えっ? ちょっ……准?」



准に言われるまま、腕を捕まれて着いて行く俺。


正直、准の天然さには助かる。
俺の出ない一歩を後から押してくれる。



准には、笑ってる。
俺にも笑ってくれるか?


ただ……准の名前を呼んだだけなのに。

何で、俺の事見て泣きそうなんだよ。