【短編】瞳




矢野君が、わかんないよ。

何で急に優しくするんだろう?


ねぇ……
矢野君、何でー?


あーモヤモヤする~!



「――……ぁ――……なぁ?!」

「へっ?」

「聞いてた?」



え?
何か喋ってたの!?

聞いてなかったよ~。


あう……睨まれて…る?



「ぁっ……ぅっうん」

「ふーん……。で、どなの?」



はいぃぃ? 何が?


隣を見上げると睨んでる矢野君。


えぇぇぇ~っと?



「ぅ……うん?」



て、何じゃそれっ!
って自分で突っ込んじゃった。



「へぇ。お前……」



え? 声冷た……



「……キャッ……んん」



泣きそうな顔で矢野君の冷たい声に、顔を上げかけた瞬間。
また……キスされた。