【短編】瞳




あんな笑顔……私にしてくれた事ないよ。

キャーキャー聞こえる声を聞きながら哀しくなった。



こんな気持ち気付かなきゃ良かったかも。

胸が痛い……。
今までの痛さと違う。

ギュッて締め付けられてる様な痛み。




「じゃー帰るかっ」



あーぁ。
結局、一言も瞳すら合わなかった。

元々、あんまり話した事ないのに、話せって方が無理だったんだよ。



もうすぐ波ちゃん家って手前で重大な事を思い出した。



「一回、家戻ってから波ちゃん家行っていい?」

「いーけど、大丈夫?」

「うん♪」



この後、女の子皆で波ちゃん家に、お泊まり大会なのに……お泊まりセット一式を忘れた。


パンツもパジャマも全部玄関に置いて来ちゃった。
本当……鈍臭いな、私。


だからこれ以上、鈍臭いって思われたくないもん。