男は静かに口を開いた。

「バジル…お前だけは…
お前だけは殺さないでいようと思ったのに…」

「えっ…?
何言ってんだよ?兄貴!!!」
そこにいたのは兄だった
今日メアリーと
駆け落ちしているはずの
兄の姿がバジルの目に映る。

「ここで何してる?メアリーはどうした?」

「…メアリーは死んだよ…殺されたんだよ!」

兄の答えに戸惑うバジルを
よそに兄は話しはじめた。

「今日メアリーと
駆け落ちするはずだったことは知ってるよな?
このことはお前と俺とメアリーの三人しか知らない
はずだった…でも…
聞いてたんだよ!
あの日バジルに
駆け落ちすることを
話したとき、
妹が聞いていてあいつらに
…親に言い付けたんだよ!」

兄はそう怒鳴りつけると
妹の身体を近くにあった
果物ナイフで妹の身体を
笑いなが次々に刺していく。

「だからって何で
殺したんだよ?」

俺の質問に兄がゆっくりと
こっちを向きしずがに答えた。