「……俺は、今……何を……?」

「レクシュ」

 リンドブルムは初めから気づいていたのだ。

 彼の心の奥底にある感情を──ドロドロと凝り固まった醜い心を。

「そんな、馬鹿な」

 弱気なベリルといる事で優越感に浸れる。

「違う……」

 ベリルに言い寄る奴らを叩き伏せていれば満足感が得られる。

「違う……俺は……」

 レクシュはガクガクと震え、その手から剣が滑り落ちた。

「レクシュ?」

「来るな!」

 どうしたのかと近寄ったベリルを制止する。

 その目は驚愕に見開かれ、体の震えは増すばかり。