リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

「あなただって、実は解っていたのではなくて?」

 それでも、それを認めたくなくて……己こそが英雄なのだと思いたくて憎しみに変え冥府に留まり続けていた。

「黙れ淫売め」

「あら、随分な言い方ね」

 レクシュは青白い輝きの剣を抜きエオスに振りかざした。

「! レクシュ!」

 ベリルはすかさず剣を拾い上げレクシュの剣を受け止める。

 金属のぶつかり合う音と少しの火花が散った。

「貴様!」

「レクシュ! 聞いてくれ!」

 こすれあう互いの刃。

 それを間に挟み、ベリルは続けた。

「代われるものならば私は今すぐにでも代わりたい……私などよりもお前こそが英雄にふさわしい」

「そうだ、俺こそが英雄になる者なのだ。貴様のような腑抜けなんかに英雄など務まるものか!」

 その言葉を紡いだ刹那──レクシュは愕然と後ずさりした。