リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

「お前を助けられなかった事は事実だ……好きにするがいい」

「そうか、では死ね」

[ガアァ!]

「……」

 ベリルの目には、迫り来るヘルハウンドがやけにゆっくりに見えた。

 どんなに噛み破られようと、死の苦しみが体を支配しようとも、レクシュの望みは叶わない。

 そう考えると、またさらに罪の意識が湧き上がる。

 強くまぶたを閉じた。

[ギャン!?]

「!」

 魔獣の叫びに目を開く。

 眼前にいたのは地獄の犬ではなく、美しいエオス。

「何故……」

 驚きのあと、怒りがこみ上げる。

 どうして邪魔をした? 折角、懺悔の時を迎えられたというのに──!

「ずっと聞いてたんだけど」

 ベリルを一瞥し、レクシュに目を移す。

「もうちょっと詳しく教えてくれない?」

 その場に不釣り合いな口調で問いかけた。