リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

「エオスか」

「! 解るの?」

 女は足を止めてベリルを見やる。

 少し警戒しているようだ。

 それもそのはず、ベリルは腰の剣に手を添えている。

「……」

 険しい顔で自分を見ているベリルを見定めるようにマジマジと眺め、口の端を吊り上げた。

「あなた、美しいわね。どう? 私の神殿に来ない?」

「遠慮しておく」

「! 断るの?」

 予想に反した言葉が聞こえ、エオスは目を丸くした。

「連れ去られるのも勘弁したい」

「あら、よく解ったわね」

 それでも諦めない感情がその瞳から窺える。

「去れ。お前に用は無い」

「つれないのね」

 溜息を吐いてエオスは体を反転させた。

 当然、諦めた訳ではなく時間を置いてまた来るつもりだ。