リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

 彼らが嫌うエオスがこの町の守護につき、結界を張っている。

 この町はエオスの加護のもとで存在しているのだ。

 きっと遠い昔には、それは住人たちの知るところであったのだろう。

 しかしそれも、いつしか忘れ去られ憎しみに変わった。

「そんなものだ」とつぶやく。

 誰も同じではいられない。

 伝えられるものはいつしか変化する。

 それでも構わない。

 そう思える者のみが、永遠の生命を持たねばならぬのだ。

「……」

 ベリルは、その丘を見上げた。

 私のように故郷を捨てられれば楽だったのかもしれない。

 だが、それが出来る者は少ない。

 私の育った村は、すでに数十年も前に滅んでいる。

 それまで戻りたいとずっと心を引きずっていたが、それを知った時に全てを無くしたと感じた。

 それと同時に引きずるものが消えて、少し心が軽くなったのも事実だ。