「もう少しくらい自覚持ったらどうなんだ?」

「そんな感情、とっくに捨てたよ」

 言いながら、後ろを向いて手を振りグエンから離れた。

 自覚したからどうだというのだ……ベリルは口の中で舌打ちする。

 私には求めるものなど何も無い。

 望むのは魂の安らぎ──果てのない生を生きる事がどれほどの苦しみなのか、誰にも理解は出来ない。

 欲しい奴がいるのなら、喜んで譲ってやるさ。

 苦々しく噛みしめるようにつぶやく。


「え!? エリスのこと?」

「うむ」

 ベリルは町の住人にそれとなく彼女の事を聞き回った。

 どうせ暇だし、時間は無限にある。

 ちょっと気になった事に費やしてもいいだろう。

 これといった仕事も無さそうなので、ベリルは暇つぶしも兼ねて訊ねてみたのだ。