煉瓦造りの壁に背を預け、腕組みしている彼に近寄る。

「お前の言った通りだったよ」

「何がだ」

 グエンはベリルの来た方向にクイとあごを示し、

「さっきのが丘の魔女だよ。エリスって言うらしいんだが」

「ほう」

「こっぴどくフラれちまったぜ」

 肩をすくめたグエンに薄く笑った。

「慰めてくれよ」

「そういう冗談は嫌いでね」

 首に腕を絡ませたグエンに無表情で応える。

「チェ、つれないねぇ」

「花街の女はどうした」

「あいつらは夜しかいねぇだろ」

 なるほど……とベリルは小さく笑う。

「はーあ、嫌んなるぜ。ここでも女どもはお前の話で持ちきりだ」

「?」

 首をかしげたベリルにグエンはビシッ! と指を差した。