次の日──

「!」

 町の市場を歩いていると1人の人間にぶつかった。

「ごめんなさい……」

 ぶっきらぼうに発した声の主に視線を向ける。

 ベリルよりやや背は低いが、女性にしては高めの身長だ。

「!?」

 ベリルと目が合い、女は驚いたような顔をする。

 彼にとってはいつもの事だが、今回はベリルも少し驚いた。

 全身を黒い布で覆い、身を隠すようにしているが、その瞳は銀色で頭からすっぽりと被ったベールからこぼれる髪は鮮やかな緑。

 年の頃は、ベリルの外見ほどだと思われる。

「……っ」

 女は目を逸らして、そそくさと去っていった。

「!」

 不思議に思いながらも前に向き直ると、グエンが苦笑いを浮かべていた。