「! 待てよ」

 そんな青年の肩を掴んで引っ張った。

 すると青年はエメラルドの瞳で見上げ、その右手にはいつの間にかダガーが男の首元に突きつけられていた。

「……うっ」

「大人しくなったのなら、むやみに絡むのはやめろ」

 心地よい声で発しダガーを静かに仕舞う。

 男はすっかり目が覚めたらしく、去っていく青年の後ろ姿を呆然と眺めた。

「まったく……」

 青年は小さく溜息を吐き出す。

 174㎝と小柄な体格だが、その存在感は際立っていた。

 路地裏から泊まっている宿に向かう。

 暗闇に月光が差し込み、青年の金の髪を照らし出す。

「私に何か用か」

「!?」

 影に身を隠していた人影が驚き、立ち止まった。