リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~


 そして、さらに数百年という年月が過ぎていった。

 ベリルは今も放浪を続けている。

 幾多の出会い、数知れない闘い……

 過去を思い出す度に、痛みと苦しみがこみ上げてきた。

 全てを失った彼に残されたものは、

『痛み』。

 体や心に感じる痛みだけが、

「まだ己は人間なのだ」と教えてくれる。

 人との関わりを一切、拒絶し独り生きる事も考えた。

 だが……やはりその寂しさに耐えきれず、人の世を徘徊してしまう。