リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

 頭と翼は確かに鶏──しかし、体はトカゲのような鱗に覆われ、トサカと爬虫類の尾を持ち触れた者をことごとく石に変える魔獣だ。

 バジリスクのような石化の視線は持たないが、危険なモンスターである事に間違いはない。

「……」

 石になったら幸せなんだろうか。

 ベリルの脳裏にそんな思考が過ぎる。

[クキャー!]

「!?」

 突進してきたコカトリスの攻撃をかろうじてかわす。

「……」

 私は何を考えている。

 頭を振って現実に戻ったその時──

「!」

 馬のいななきに振り返った。

「!? しまった!」

 馬の王から贈られた馬が攻撃されていた。

 恐怖に見開かれたその瞳……馬は足下から徐々に石に変化していった。