それを静かに聞いていた村人だったが、徐々にその顔を強ばらせていく。

 語り終った頃には聞いていた村人の顔は、どれも恐怖や別の何かが入り交じった表情を浮かべていた。

「……」

 うなだれるベリルの耳に疑うような言葉がぼそりと響く。

「すごいよ」

「え……?」

「ベリルはドラゴンの力を授かったんだ」

「英雄だ」

「……なにを」

 何を言っているんだ?

「レクシュは死んじゃったけど、代わりに凄いものを手に入れたじゃないか!」

 一斉に歓喜の声が上がった。

「みんな……何を言って……」

 戸惑うベリルをよそに村人はドラゴンの力を授かった仲間に喜んだ。

「宴だ!」

「ドラゴンの力を授かった仲間に!」

「英雄の誕生に!」

 ベリルの哀しみと嘆きなど一笑に伏された。