リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

 彼を逃がすために、嘘をつかせた。

 そうして彼を死なせてしまった。

「クックッ……なんだ。私は罪だらけじゃないか」

 自嘲気味に笑う。

 血に染まった服を洗い乾かしたあと、洞窟の入り口に戻った。

 そこにあった血も、ドラゴンの死体もすでになく。

 残っていたのは、焼けこげたレクシュの遺体のみ……

 ベリルは穴を掘り、親友の遺体を埋めた。

「……」

 倒木の枝を切って墓標とし、両膝をついて嗚咽(おえつ)のような声をあげるが、やはり涙は出なかった。

「!」

 ベリルはそのとき、ふと気がついた。

 あれだけドラゴンと闘ったのに、切り傷も打撲の痕も見あたらない。

 まさか……本当に? そう思いながら、また頭を振る。

 ここから村までは遠い。

 そう考えて小さく溜息を漏らした。