「……」

 目を覚ますと、陽の光が昇り来る頃だった。

「朝か」

 上半身を起き上げる。

「……」

 ピシャリ……冷たい。

 ベリルは、血だまりの中にいた。

 あれが夢では無かったのだと突きつけられる。

 だが、今の彼には嘆く気力すら無かった。

 フラフラと歩き、目の前に見えた川に服を脱いで真っ赤に染まった体を洗う。

 そのまましばらく目を伏せて押し黙った。

「……っ」

 顔を手で覆う。

「レクシュ……」

 何故か涙は出なかった。

 まるで枯れ果てでもしたかのように、胸の苦しみだけが増していく。

「!」

 そこへ1人の男が通りかかった。