リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

[人とドラゴンは異なる者だ。その受け継がれ方も変化する]

 我は寿命が尽きかけているが、我の心臓を食らった人間は不老不死となり生き続けるだろう。

「な……に?」

 ドラゴンは目を見開くベリルを一瞥し、胸に埋めていた腕を少しずつ抜いていく。

[お前はあの男の罪も引き受けるのだ]

「……やめろ」

 抜き出された手に巨大な心臓がドクン、ドクン……と音を立てて握られていた。

 それを、ゆっくりベリルの頭上に持っていく。

 逃げ出そうとするベリルを睨み付け、動けなくさせた。

[お前の罪は重い]

「やめろ!」

 声を荒げたベリルに、握りつぶされた心臓の血が浴びせられた──

 薄れていく意識の中でドラゴンの声がこだまする。

[己のした事を永遠に悔いるがいい]