[なんと愚かな!]

「! があぁ!?」

 ドラゴンは声を張り上げ、ベリルを強く握りしめた。

[我が貴様らの策略に気づかないとでも思ったか!]

 言ってベリルを掴んだままバサリと翼をはばたかせ、逃げようとしていたレクシュの前に降り立つ。

「う……あ……」

 その、刺すような漆黒の眼差しと威容にレクシュは腰を抜かした。

「ぐっ……」

 ベリルは掴まれながら、ガタガタと震えてへたり込むレクシュを見つめた。

 このままでは……いけない。

 ベリルは声を振り絞った。

「わ、私が全て計画した事だ。彼は私に協力しただけに過ぎない。だから、私だけを殺せ」

「! ベリル……」

 ベリルは気づいていた。

 このドラゴンは、確かに神にも匹敵する強さを持っていると……