リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

「……」

 ベリルはその姿に喉を詰まらせた。

 赤いウロコに覆われた巨体と鋭い牙や角。

 そして、背にはコウモリのような翼。

 まさしくドラゴン。

 とても勝てるとは思えなかった。

 しかし、レクシュは剣を抜きベリルに合図する。

「ベリル、頼むぞ」

「……っ」

 やめよう……と口を突いて出そうだったがベリルはそれを飲み込んだ。

 今更、彼がそれを聞き入れるハズがない。

 ベリルは詠唱を始めた。

 緊張が走る──詠唱が終りそれをドラゴンに解き放った!

[ムッ!?]

「今だ!」

 ベリルが麻痺の魔法を撃つと、ドラゴンは痺れて動けなくなった。

 すかさずレクシュが斬り掛かるが、振り下ろす前にはもう魔法が解けてしまった。

 ベリルは慌ててレクシュを引っ張る。

「だめだ! 一端、退こう」

「ここまで来て!」